ピースボートを造船する予定だった。アークテックヘルシンキ造船所が売却されてから、はや一ヶ月経ちましたが、その間色々と動きがあったみたいです。
ニュースサイトによれば、2016年から新規の受注がなかったそうです。いくつかは仮契約まで言ったそうですが、ロシアの経済制裁の影響で銀行融資を受けることが出来ず、結局正式に契約まで行かなかったそうです。その中にはエコシップもあったようです。
そんな状態だったのですが、新会社に変わった途端に仮契約がドンドン来て、今回クルーズ船2隻の受注が正式に決まったそうです。
私は当然そのクルーズ船ってエコシップの事だと思っていたんですが、全然違っておりました。
俗に言う探検船タイプのクルーズ船だそうです。北極圏や南極圏の等をクルーズする豪華客船なのですが、大きさは小型船なので長さは約110メートル、幅は20メートル。乗客定員は約150人で、最大乗務員数は110人だそうです。また特殊な船であることと豪華客船だという事でクルーズ代はとっても高くって一泊千ドルからするそうです。
ちなみに建造費は1隻あたり1億ユーロで2隻の合計が2億ユーロほどだそうなんです。
まだ、クルーズ船のデザインは発表されていませんが、こんな感じの船でしょうかね。それともアークテックヘルシンキ造船所が前に発表していたエコシップ型の船なんでしょうかね?
設計も既に始まっており、最初に1隻目は2021年8月に完成予定。もう1隻は2022年の1月に完成予定だそうです。
そう言えばこの船の受注はロシアで、受注主はアークテックヘルシンキ造船所を引き継いだヘルシンキ造船所のオーナ自身。
それって受注といえるかどうかは分らないのですが、このオーナーはリバークルーズの会社も持っているそうなので、探検船クルーズの分野に進出するために作らせるのでしょうかね。
あと、ドイツから砕氷船の受注も受けており、このクルーズ船が終わり次第造船にかかる予定だそうです。
ここまで、ひょうひょうと書いてしまったのですが、これではただのヘルシンキ造船所の造船計画だけじゃないか、エコシップの話はどうなったんだと言われそうなんですが、確かにこれは見事にエコシップの話はなかったですね。(反省)
エコシップはヘルシンキ造船所の前進、アークテックヘルシンキ造船所と契約して2020年4月に完成予定だったはずなのですが、2020年のクルーズ船安全基準の変更に合わせて、納期が2022年4月に変わったとジャパングレイスが発表しました。
ところが現実は厳しくその間に起った、アークテックヘルシンキ造船所が経営不振の為、売却問題が起こり、一歩間違えれば倒産という所まで行っておりました。
そのため船の造船どころではなくなってしまい、気がつくとエコシップの造船の話自体が見事にどっかに飛んで行ってしまっておりました。
ジャパングレイスの発表では、造船契約は正式に行われて、着手金も払っていると言われているので、売却が上手くいった時点で新会社のヘルシンキ造船所と再契約して、継続してエコシップの造船を行っているという事を公式に言ってくるのかなと思っていたのですが、そんな事は一言も発表がありませんでした。(多くのニュースサイトでは2016年以降全く契約されていなかったというのが定説なんですが)
逆にヘルシンキ造船所からは、新たな受注が入った世という発表があり、納期計画まで発表されてしまい。エコシップを何時造るつもりなんだという不信感しか浮かんできません。
確かに、今回発表があった船は小型船ですから、造船所が所有している巨大なドッグを使わない可能性もあるので、エコシップも同時並行で作る可能性が完全になくなったとは断言出来ません。
でも、そうであったらエコシップ作るよ。最新技術を使った船だよ。と新会社の目玉にして大々的に発表すると思うんですね。だって今までこんなスゴいクルーズ船を作った造船所って世界中どこにもないですからね。
それをしていないという事は、基本的にエコシップの造船契約自体が新会社に移っていないとしか考えられないんですね。
新会社が出来て、新たな造船契約が受注されていますが、元の会社アークテックヘルシンキ造船所自体は無くなったわけではないんですね。
売却した時に受け取ったわずかなお金の代りに、貧弱な造船会社をもらったのですが、その会社のオーナーとしてアークテックは残っているんです。またアークテックが残した2億6千万ドルと言われる負債もアークテックが抱えているんです。
会社自体がなくなっていないのですから、エコシップの造船契約はまだアークテックとしていると考えるのが普通じゃないですかね。もしこれを新会社に移すとなると契約自体を移管して再契約する必要があるはずなのですが、そんな話はジャパングレイスからは発表されていません。
実はその辺のことがあまり気になってしまって、ジャパングレイスに直接問い合わせをしたんですね。
そうしたら、私に責任者という方から直接電話がかかってきました。
その方が言うには、新会社から連絡があり、エコシップの契約や着手金などはちゃんと移行されて、船の製造は順調に進んでいますとのことだったのですが、報道されている内容ではエコシップの事は何も言っていない。契約書や着手金がちゃんと移行されていることを確認されたのですかというと、報道に関してはエコシップの事は書いていないが、逆にやっていないとも書かれていないとも書かれていないのでジャパングレイスとしては履行していると理解しているそうです。
また移行されたかどうかに関しては新会社を信用しているので大丈夫だそうです。
ただその連絡以降、特に新会社から定期的に連絡はなく、現状を知るのはネットで調べて確認していますと言っておられました。
私が心配性だからかもしれないですが、5億ドルもの契約をした会社がごたごたして、船が作れるかどうか分らない状態になっていたら、すぐに責任者を現地に行かせて状況確認をして、契約を再契約する必要があるのならするでしょうし、怪しかったら徹底的に相手の会社を追究するべきでしょうね。
なのに何も手を打たず、一方的に新会社を信用して、ネットニュースで状況を確認している会社ってなんか危なくないかなと思ってしまいます。
個人的には新会社のヘルシンキ造船所になめられてしまっていて、現実的にはエコシップが造られてる可能性はかなり薄いと思います。
それ以上に着手金として渡した物の存在自体不明で、最悪の場合はアークテックヘルシンキ造船所の負債の相殺として使われてしまった可能性さえあると思います。
そんな状態なのに、何もしないジャパングレイスは本当にエコシップを造る気があるのかなと思うしかないです。
そう言えば、延期されたエコシップの代りに2020年から代替え船でのクルーズ日程を4月に発表すると言っていましたが、もうすぐ7月なのにまだ発表もされていません。
営業だけは相変わらず積極的なジャパングレイスですが、エコシップは本当に出来るんでしょうかね。
少なくとも今のままでは2022年完成もかなり難しくなってきたんじゃないかなと思っております。
ジャパングレイスさん。エコシップを申し込んでいる人を安心させるためにはちゃんとした真実と経過を発表した方がよいような気がします。
このままの状態では何時までも持つとは思えません。
コメント
Denさまの上記論述は、まことに正鵠を得たものであると感心しております。長い旅先から拝読していたためコメントが遅れましたが、Denさまに対し、心からのエールをお送りしたいと思います。
Denさまが懸念されるとおり新アークテック造船所は、エコシップの建造に関し、ピースボート(ジャパングレイス)との間で何らの契約も交わしていませんから、ピースボート(ジャパングレイス)のためにエコシップを建造することは決してありません(仮に何らの契約もなくエコシップを建造したとしても同造船所はピースボート(ジャパングレイス)に対し、建造代金を請求することが出来なくなってしまいますし、逆にピースボート(ジャパングレイス)は、同造船所から建造代金の請求を受けても支払の必要はないということになってしまうからです。)
また、新アークテック造船所は、旧アークテック・ヘルシンキ造船所に代って既払の契約代金(もしピースボート(ジャパングレイス)がその主張のように契約代金を同造船所に支払っていたことが事実とすればですが)を返還することもありません。
実は、新アークテック造船所が、わざわざ新会社をもって旧アークテック・ヘルシンキ造船所から造船施設、人的物的設備など一切の譲渡を受けたというのは、債務は旧アークテック・ヘルシンキ造船所にそのまま残し、新アークテック造船所はそれを一切引き受けないようにするためだったのです。
さればと言って、ピースボート(ジャパングレイス)は、債務を負っているだけの無資力となった旧アークテック・ヘルシンキ造船所に対し契約金の返還を請求しても、返済を受けられる可能性はほとんどありません。
ピースボートの吉岡代表は、そのことを十分理解しているはずですが、仮にそのことを世間に公表すれば、たちどころにピースボート(ジャパングレイス)が信用不安に陥ってしまいます。
エコシップ申込者が、ピースボート(ジャパングレイス)の信用に不安を感じ一斉にキャンセルをかければ、総額50億円にも上ると言われる申込金の返還にたちどころに窮して破綻することは目に見えています。
ですから、ピースボート(ジャパングレイス)は、そのことを決して世間に明らかにはできないのです。
ピースボート(ジャパングレイス)は、今エコシップ申込者をTHENITH号クルージングに振替えようとしていますが、もし大半の申込者がTHENITH号クルージングへの振替に応じれば、逆にその分2年延期したエコシップへの申込者がいなくなりエコシップの建造資金にも窮することになってしまうでしょう。
これは、ピースボート(ジャパングレイス)自身がエコシップ建造の見込みが全くないと分かっているからこそ出来ることなのではないでしょうか。
https://en.wikipedia.org/wiki/MV_Zenith
上記英文ウイキペディアのZenith号に関する記事のFiresの項目には、ゼニスの事故歴が記録されています。
すなわちゼニス号は、27年前の1992年に建造された後、2回にわたり船内火事を起こしています。
第1回目は、2009年8月8日、ストックホルムのフリハンネン港に入港しようとしたときに発生した火災でそれによりゼニス号は船尾部分を損傷しました。
第2回目は、2013年6月26日、エンジンルームから突然出火してエンジンが動かなくなってしまった事故で、4隻のタグボートが曳航しに来るまでの間ヴネチアの沖合17キロのところに停泊しなければなりませんでした。
そしてゼニス号は、1週間後に修理のためにトリエステ港のサンマルコ造船所に入港しました。
他方、和文ウイキペディアによれば、ゼニス号は、同年に外側船室にバルコニーを設けるなどの大改装を行っていますが、これは上記出火事故に伴う船舶修理の際にそれを兼ねて行ったものと思われます。
ゼニス号は、翌年の2014年にスペインのプルマンツールからフランスのシレーに譲渡されましたが、2017年に、プルマンツールに買い戻されてもっぱらカナリア諸島の10日間程度のショートクルージングに従事しています。
プルマンツールは、こういう深刻な事故歴のある船なので、SOLAS2020の規制直前に、渡りに船とばかりに当初のカナリア諸島クルーズ計画を途中で打ち切ってまでも、ピースボートに譲渡することにしたものではないでしょうか。
このような深刻な事故歴のある信頼性の乏しい船を3か月半という長期に及ぶ地球一周クルーズに使うのは、大変危ないことではないでしょうか。
何年か前のピースボートのように、航海中に数日間も漂流するような大事故が起きたら大変です。
これはまさしくエコシップという羊頭を掲げて、その実狗肉(犬の肉)を売りつけるという古典的な詐欺商法というべきではないでしょうか。