エコシップの情報が全くないのは何故?

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うちのサイトに来られる方が検索するワードの上位に「エコシップ どうなった?」というのがあります。

エコシップは2013年頃から計画があり、2015年にはすでに募集を始めたのに今だその全貌が全く見えてこない幻のプロジェクトです。

確かにピースボートの公式サイトを見るとクルーズの募集をしていますし、英語ですがエコシップの公式サイトもあります。でもここでエコシップの具体的な話は2017年5月30日にエコシップの建造にアークテックヘルシンキ造船所と意向表明書(LOI)を交わしたと言う話のみで、それ以外はかなりのニュースが載っていますが、そのほとんどはどこかの地球環境の会議に出たよとか、地球環境に関する展示会でブースを造ったよとか言う話ばかりで、LOIを交わした以降エコシップは正式に契約されたのか、造られているのか、いないのかという具体的な話は全く話がありません。

そう言えばLOIを交わしてすぐにエコシップクルーズの2次募集が始まったよという案内がジャパングレイスから来て、そこにエコシップを紹介する小冊子が付いていました。その小冊子は2号まで届きましたが、それからはぱったりとこなくなりました。

個人的にはそれ以降発行されなかったと思っていたのですが、エコシップを予約した方には少なくとも6号までは届いているとのこと。そこには設計の変更の話なども書かれていたそうですが、ピースボートの知り合いに聞いたり、ネットで調べたりしましたが全くそういう話を見つけることが出来ませんでした。

エコシップを予約した方は少なくとも数千人はいると思うのですが、誰ひとり「こんな凄い船がここまで出来てきているんだよ。」って話をネットに書かないのが不思議です。

少なくとも私が最初エコシップの小冊子に載っていた船のスペックや外見を見ただけで、明らかに今までの船と違う凄い高性能船で21世紀を象徴する船だと思いました。もしその小冊子の最新号に具体的な進行状況の話が載っていれば私なら自慢したくて仕方がないでしょうね。

でも結局はそんな話どこからも出なくって、契約さえ行われたかの報道もなく、唯一造船する予定であったアークテックヘルシンキ造船所の経営危機のニュースが流れてきて、本当に出来るのかと噂になっていた頃に例の文春砲で取り上げられましたが、結局ジャパングレイスは2019年1月9日にあっさりと2020年には間に合いませんと発表し、その理由として船の新しい安全基準を適応するために2年間延期するという事でした。またこれは事実だよと言う事でアークテックヘルシンキのCEOの署名入りの文章まで載せていました。

まあこれが唯一我々に知らされた、エコシップは実際に造っているという証拠と言われるのですが、滅茶苦茶おかしな話です。だいたい発表した時期ってエコシップが完成予定だったわずか1年3ヶ月前、実際日本への移動とか諸々の準備を考えたら、完成まで1年2ヶ月を切った時期での発表です。

その時期に今更のように安全基準に合わせて設計を見直しって異常すぎます。普通で考えたらもうこの頃には船の起工式に入っていてもおかしくない時期でした。

最近の船は比較的工期も短く簡単にできるようになっているのですが、それは造船所のドックで一から組み立てているのではなく、船を小さなブロック単位で別の場所で造り、それを造船所のドックでプレハブ住宅を造るようにブロックを重ねていくから早く簡単になった訳で、当然この時期であればそのブロックはかなり完成していたはずです。

そうなると当然企画が変わって使い物にならないブロックも相当出たはずです。そのため相当な損害も発生したでしょう。でもジャパングレイスは信じられないくらいの寛容さで設計の変更と納期の2年物遅れを受け入れています。

普通で考えれば、この時点で実際は設計もまだ完成していなかったのじゃないかと思ってしまいます。当然ブロック単位での造船も始まっていなかったでしょうし、間に合わないのは当然です。

では何故アークテックヘルシンキ造船所は署名入りの文章まで出したのでしょう。

先程も書きましたが当時アークテックヘルシンキ造船所はかなりの経営危機に陥ってました。理由は会社自体がロシアの国営造船組合USCの完全子会社であったため、当時ロシアが行ったウクライナ侵攻に対してのEUの経済制裁の対象になってしまい、銀行からの融資が受けられなくなっていました。

そのため船の建造の受注はあっても、船を造るための融資をしてもらえず契約自体が交わすことが出来ない状態だったのです。実際融資が受けられない状態で船を造っていたために、受注した船の納期が大幅に遅れて50億円からの違約金まで支払されるいう事まで起こっていたので、エコシップを造る余裕など全くなかったのが事実でしょう。でもそんな本音は言えませんから、安全基準云々という苦しい言い訳を考えたというのが正解でしょうか。

あの文章を出した以降のアークテックヘルシンキ造船所はますます窮地に立たされました。CEOは解雇され、2019年4月末までに造船所の新しい買い主が現れないと閉鎖するとUSCからも発表されていました。その期限の4月ギリギリになって話が急転直下でまとまりました。元ロシア政府高官とベルギー人が経営する、ロシア有数のクルーズ会社が名乗りを上げたのです。

ただそれは会社を引き継ぐいう訳ではなく、造船所の設備と社員を受け入れるというもので、200億円以上あったと言われる負債に関しては元の会社に残るという不思議な契約でした。結局2019年5月9日に約6000万ドルとロシアにあるネフスキー造船所と交換するという形で契約が成立したのですが、よくよく調べるとこの造船所って元々アークテックヘルシンキ造船所と同じく、親会社のUSCが50%の株を持っている子会社で、結局残りの株を譲り受けたというのが正解だったようです。

そのためアークテックヘルシンキ造船所はこの時点で実質ネフスキー造船所の大株主となった訳ですが、実際はUSCの完全子会社であるので、そのままネフスキー造船所はUSCの完全子会社になり、アークテックヘルシンキ造船所自体は、消滅したとみるのが正解かも知れません。

結局この契約は、親会社がロシアの国営企業だから経済制裁を受けるのだから、ロシアの民間企業なら制裁は外れるだろうという事で、形の上で身内に買ってもらったという事にしたというのが深層のような気がします。

そして元のアークテックヘルシンキ造船所であった所は、ヘルシンキ造船所として再スタートを切ったのですが、ここで疑問が出てきます。

エコシップの契約はどうなってしまったのでしょうという事です。

新会社はアークテックヘルシンキ造船所を引き継いだ訳ではないので、契約自体実質的に消滅したと考えるのが妥当です。

そこで、その事がとても気になるのでジャパングレイスに直接メールで契約はどうなったのかを問い合わせたところ、突然私にジャパングレイスの責任者と名乗る方から電話がかかってきました。

その方が言うには、エコシップの契約は新会社に引き継がれたと連絡を受けていますとの返事でした。

当然別会社になった訳ですから、現地に飛んで実際に向こうの責任者と話して再契約されたのですか?と聞くと、信用していますから特に何も行っていないとのこと。

それで話は進展しているのですか?と聞くと、特に何も連絡がないのでネットで新しい情報が出ていないか検索していますという信じられない返事をいただきました。

結局20分ぐらいエコシップやピースボートの事を根掘り葉掘り聞いたものですから、それから以降ジャパングレイスから私宛にピースボート関連の資料が送ってこられなくなりました。多分要注意人物と思われたのでしょうね。

それから暫くして、新会社のヘルシンキ造船所から2隻のクルーズ船の受注契約を正式に受けたというニュースが流れたので、個人的にはやっとエコシップの正式な契約が決まったと一瞬喜びました。

ジャパングレイスの言っていた事もウソじゃないと思ったのですが、それもすぐに絶望に変わりました。そのクルーズの依頼主はヘルシンキ造船所自体を買われたロシア人自身の発注で、冒険船と言われる、北極や南極をクルーズするための船でした。またその完成時期が2021年と2022年となっていたので、この造船所ではやっぱりエコシップは造らないのではないかと思ってしまいました。

それから以降もどこのマスコミもネットでもニュースでもエコシップが取り上げられることはなく、月日が流れ2020年になっていました。

そしてコロナ騒動が起こり、2020年4月のクルーズが中止になったと思ったら、ゼニス号がまだ一度も出向もしていないのに、2022年のクルーズの発売を始め、大幅値引きのキャンペーンを大々的にジャパングレイスは始めました。

そのキャンペーンが行われているとき、私は1つの違和感をずっと感じていました。2022年のクルーズを大々的に売り出すキャンペーンだったのだから、2022年の主役はエコシップだろう。なのにそのエコシップの事は全く宣伝もせずに本来代役であるゼニス号だけを売ろうとする。その事が気になってジャパングレイスの説明会にも行きましたが、そこでもエコシップの話は一切はありませんでした。

最初はエコシップが完売しているかとも思ったのですが、予約状況を見ると第1回クルーズ以外はまだかなり売れ残っています。だったら本来ならもっと宣伝して募集するはずなのに、ゼニス号しか販売していないような広告の打ち方をずっと続けています。

正直言ってこれって、ジャパングレイスさん自身エコシップが出来ないという事を十分承知している結果ではないかなと思ってしまいます。下手にエコシップを申し込みされたら、いざエコシップが幻の計画だったと分かったときにどれだけ世間の非難を浴びるか分かっていると思います。だったらさっさとエコシップは無理ですと発表すれば良いのですが、週刊誌にも疑惑報道されて、実際に計画が進んでいると発表してしまった手前いまさら取り消し出来ないのでしょうね。

そう言えば先週ヘルシンキ造船所がYouTubeに1つの動画を投稿しました。

NB 516 Steel cutting Ceremony
The production of the blocks for the first vessel of the two luxury expedition cruise vessels ordered from Helsinki Shipyard Oy started on 27.4.2020.

これはこの4月27日にヘルシンキ造船所で初めて造るクルーズ船の起工式の様子を収めたものです。

本来ならここにエコシップがあったのかもしれないのですが、現実にはありません。

エコシップの具体的な情報は全く流れていません。そして実際に契約が済んだのか契約金は支払ったのか、またどこかで造っているのかさえ全く一切分かりません。

個人的にはエコシップはやはり造られていなかったという事でこの記事を終わらしたいとは思っていません。

正直言って、日本のNGO団体が世界に先駆けて素晴らしい船を造ることが出来たとしたら、これほど誇らしいことはないです。

だから、ここに長々と書いた私の推論は間違っている。エコシップはちゃんと造られていて2022年には日本に来る。その証拠がこれだというものを見せてもらいたいのです。

是非エコシップの事をよく知っている方や関係者の方がこの記事を見たら、反論をお願いします。

そして私にエコシップという凄い船が出来るんだという事実を教えて下さい。お願いします。

コメント

  1. ピースボートファン より:

    本文も大変興味深くかつ面白く読ませていただきました。
    先ず、Denさまがエコシッププロジェクトの開始から現在に至るまでの経緯を細部にわたり深くかつ正確に把握しておられることに心から敬意を表します。
    Denさまがここまでご存じなのであれば、実はエコシップは未だ正式契約はおろか基本図面の1枚すらも出来てはおらず、2022年4月完成・就航などということは絶対にあり得ないことも確信しておられるはずです。
    しかし、Denさまは、決してそうとは決めつけないで、あくまでピースボート自身が証拠を上げてエコシップの実現性を証明すべきだと言われるわけです。
    おそらくDenさまは、今なおエコシップの2022年4月完成・就航を信じて心待ちにしている多くのひとたちの夢と希望をDenさま自身の手で打ち砕きたくはないとお考えなのでしょう。
    そのひとたちは、むしろ人一倍善良なひとたちであり何ら責めるべきところがないひとたちなのですから、Denさまのそのひとたちに対する思いやりの気持ちは良く理解出来ます。
    やはりピースボート自らが、出来るだけ早く世間に対しエコシップの実現不能を率直に表明すべきなのです。
    NPOピースボートと株式会社ジャパングレイスの両者を実質的に統括している吉岡達也代表こそ、今すぐにでも世間の前に姿を現し、エコシッププロジェクト破綻にかかる顛末の一部始終を明らかにすべき責任があります。
    今般クラウドファンデングに出たピースボートスタッフたちも、本来は何らの責任もなく被害者でしかないひとたち対してまるで泣き落としするかのように安易に情けを乞うのではなく、先ず、総責任者である吉岡達也代表そのひとに対し、エコシッププロジェクト破綻に至る事の真相を明らかにするよう厳しく求めるべきであったのです。

  2. 南海カゴメ より:

    エコシップが完成出来ないことは、確かなことだと思う。
    エコシップを造らない(造れない)のなら、ピースボートがエコシップで集めた50億円以上のお金は一体どこに消えたのか。
    このお金の1部でも残っているのなら、ピースボートスタッフがクラウドファンディングまでやって金集めをする必要がなかった筈ですね。
    ピースボートスタッフは、外部のひとから募金をする前に自分達の代表である吉岡代表に対し、その金がどこでどうなったのかを問い質すべきではないでしょうか。
    そのお金は吉岡代表が個人的に使ってしまったというウワサが本当でなければ良いのですが。

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