まだピースボートサイトから正式に発表されていないけれども、エコシップの処女航海が当初の2020年4月から2022年以降に延期されたようです。
根拠は二つあります。
一つは既にエコシップに申し込みされた方宛てに、ピースボート側から
エコシップ延期の連絡が入ったことを一部のSNSやブログで最近発表されいること。
もう一つはエコシップ唯一の公式ホームページのトップ画面が最近変わったことです。
なぜかいままであった2020という文字が消えてしまっているんです。
これの意図はどう考えてもエコシップの完成時期が不明瞭になったという意味にしか取れないです。他の意味が考えられる方がいたら教えてもらいたいです。
それでは何故エコシップの出航が一年ちょっとに迫ったこんなギリギリの時期に、それもこっそりと延期になったのでしょう。
正直な話2019年1月現在、エコシップを造船する予定のフィンランドのアルテックヘルシンキ造船所では、エコシップの起工に入っていません。まだ全く作り始めていないのが事実です。
確かに最近の造船技術は進んできており、船を細かい単位に部品して、色々の場所で並行で作り始め、それを造船所でまるでブロックをくみ上げるような工法で作るために、8ヶ月から1年ほどで完成できる時代なので、今から作ればまだ2020年4月の処女航海には間に合うと言えます。
ただ2017年5月の時点でピースボート側が発表した造船会社との契約は仮契約の状態であり、その後の正式契約はまだすんでいないという情報も流れています。
もしそれが事実であれば、当然船の設計も船を組み立てるための部品の製造も始まっていないので、とても間に合うことはないでしょう。
だとすればエコシップの完成が2022年まで遅れる理由も理解が出来る。
仮契約した以降全く進行していないのだから、その分は丸々遅れるのは誰でも想像できる事です。
それでは何故遅れるのかという事ですが、その手がかりになる物が去年の9月にピースボート公式サイトのライブラリーにこっそりと載せられていました。
何故かピースボート自体が未だ日本には正式に発表していない、エコシップのクルーズカタログが載っているのです。
ここで興味深いのは表紙を飾るエコシップの形です。先程のエコシップの公式サイトトップを飾るエコシップの形と全く違う船がここでは載っています。
船の先端には網目模様のガラス張りになっているし、帆も折りたたみ式になってずいぶんコンパクトな印象になっている。
また船の総トン数も6万トンから6万5000トンとアップしているのに、逆に定員は2000人から1800人とゆったりした作りに変わっています。
見方のよれば船の安全面や船の居住空間の快適さを優先するために大幅に設計を変えたために船の完成が遅れるとも考えられるのですが、もしそうだったら設計変更するという事はもっと前に分っていたはずですから、少なくともその時点で延期が発表されていたでしょう。
第一、このカタログの最後のページに2017年8月時点の設計とわざわざ断り書きが書いてあるぐらいなので、この設計は1年以上前には変更されていたことになります。
それではエコシップの公式サイトのCGやプロモーションビデオはずっと古いデザインのままだったのはどういうことだったのだろうと、逆に疑問が残ってしまいます。
ここで何故正式契約が出来なかったのかと言うことで一番考えられるのはお金の問題でしょう。
エコシップ1隻作るのにかかる費用は500億から600億と言われていますが、その金額をピースボートや資本金5000万円、弁済限度額が7000万程度のジャパングレイスが用意できるとは個人的には到底思えないです。
有志からの援助や、海外のファンドから募ると言う話も出ていましたが、集まったという話も聞いていないし、そもそも、そう簡単に集まる金額とは思えないです。
その為に考えついたのはクルーズの空売りだったのでしょう。エコシップのクルーズもずいぶん前から3航路早期販売を始めていましたし、通常のオーシャンドリーム号のクルーズも次から次へと発表していました。
特に昨年の10月から11月にかけてはオーシャンドリーム号の2020年のクルーズをほぼ同時に発表し、一月ほどの間に早期申し込み全額現金振り込みを促す案内が何通も来て、個人的によほど金が必要なんだと凄く感じたものです。
ここから先は全くの私の妄想の世界ですが、クルーズの早期予約の現金でエコシップを造るための手付金程度は用意できたのではないかと思います。
それで仮契約まで進んだけれども、そこで誤算が生じた。
ある海外のニュースサイトによるとユナイテッド造船株式会社というロシアの会社がエコシップの造船のための資金援助を行うという記事が載っていました。
この会社はエコシップを造船するアルテックヘルシンキ造船所の親会社なのだけど、最近株式を売って経営権を手放すという報道が出ていました。
そうなると、そんな会社の受注している仕事に対して資金援助などするメリットなどなくなるわけですから、その話も立ち消えになってしまった可能性が高いと思われます。
その結果船の代金支払いのめどが立たなくなり、現在まで正式契約が出来なかったのではないかと私自身は想像しています。
それでもうちうちながら延長されたという事が発表されたという事は、やっと正式契約が交わされたのかもしれません。ただ交わされたとすればそれはそれでとても危険な結末が待っているような気がします。
今現在エコシップを申し込んでいる人に連絡しているとのことですが、よほどのピースボートが好きでたまらない人以外は、かなり失望して不信感を感じるでしょうね。そうなれば当然予約を解約してお金を返して貰うことになります。
どのくらいの方がキャンセルするかは予測できませんが、場合によっては現状の状況から考えて契約後にエコシップの計画自体が頓挫してしまう事も考えられます。
そうなればピースボート側が違約金を払わなければ行けなくなります。特に起工間近に頓挫するようなことがあれば、かなりの違約金を払わなければいけないと思います。
当然、ピースボートもジャパングレイスもそんな余力がありませんから、ジャパングレイスの倒産という事も考えなければいけないです。
これから先は考えるだけでも恐ろしくって書けないです。
エコシップ計画はとても素晴らしい計画だと思いますが、資本力のない会社が無理をしてやることはとても怖いです。
ここは正式契約をする前に勇気ある撤退を望みたいと思います。
できれば、延期自体がフェークニュースでエコシップは計画通り出航するよと言う力強い発言をピースボートサイトから聞きたいものです。
2019年1月22日追記
ついに今日ピースボートサイトで正式に延期が発表されましたね。
これによると2017年6月にクルーズ船の造船のための安全基準が変わったため、それに対応するためには納期が遅れると昨年の中期に造船会社側から連絡があり、なんとか納期が遅れないように検討した結果。昨年末2年間の延期を承諾したという事なんですが、なんかめちゃくちゃ変な話ですよね。
前途に書いたエコシップの設計変更があったのは安全基準が変わってからですから、当然それは新たな安全基準に準拠するための変更と考えられます。その時点である程度遅れるという事は分ると思うのですが、結局1年近く先まで分らなかった。
そのうえ、そこから半年もかけて遅れないよう出来るかを検討して、結局出来ないと結論したら、突然船が1隻出来るくらいの期間の2年も延期だなんて変だと思いませんか?
それまで納期に間に合う方法はないかと検討して、結局無理なので3ヶ月延びたくらいならありえますが、いきなり2年ってどんな根拠なんでしょうね。
結局遅れると分った時点で工期が3年9ヶ月はかかるだろうという話になっていたのに、それをまさか真剣に1年9ヶ月と半分ほどの時間で出来ると思って考えていたのでしょうかね。
もしそれが本当ならば、よほどバカか、誰かが大嘘をついているしか考えられません。
個人的には、この1年半造船会社もジャパングレイスもほとんど何もしていなかったのとすれば理屈が合うと思います。
もしエコシップの造船を本当に予定通り進めていたのであれば当然船の各パーツがかなり出来ていただろうし、船を造る準備も始まっていたはずですから、それを二年も工期が遅れるほどの大幅変更があったという事は全てご破算で一からやり直すとなると、かなりの損失、新たな多額の費用が発生しますよね。
それをジャパングレイスは文句一つ言わずに負担するのでしょうかね。
それとも少し前三菱重工がクルーズ船の大幅納期遅れで発注先にクルーズ船1隻買えるぐらいの損害賠償を払いましたが、ジャパングレイスもエコシップ1隻ただで貰うつもりでいるのでしょうかね。
多分どちらの会社もそこまで資金力がないですから、現実の所今まで何もやっていなかったから、別に負担はそれほど増えないと考えているのでしょう。
また今造っているクルーズ船はエコシップだけではないのに、2020年完成予定のクルーズ船で延期になったという話は他では聞きません。
それって逆に言えばエコシップは燃費ばかりにこだわっていて、安全面に関してはおざなりにしていたという事なんでしょうか。
個人的には不信感が増すだけの発表だと思ってしまいます。
発表には2020年以降は現状のオーシャンドリーム号と同じような中古船をもう一台チャーターして2隻体制で運用するようですが、今エコシップを申し込んでいる人がそちらに乗り換えるとは思えないのです。
第一エコが売りのはずのピースボートが中古の重油をバンバン使う、環境に最悪な船を2隻も世界一周に使うとなれば、言っている事とやっている事があまりにも矛盾しています。綺麗事は言うけれど所詮はピースボートも今のクルーズブームに乗って稼ぎたいだけなのかなと思ってしまします。
なんだか結局うやむやにしてエコシップの話はなかったようにして、中古船で地球の環境をどんどん悪化させるだけなのかなと思える次第です。
コメント
貴殿が、前回「エコシップの4つの大疑問」で予想したことが、全て現実になりましたね。
今回の予想も全て当たると思います。
不思議なことは、貴殿ご指摘のようにNGOたるピースボートと会社ジャパングレイスの足並みが全然そろっていないことです。
会社ジャパングレイスは、去年の9月に新型エコシップへの変更を発表しているのに、エコシッププロジェクトの本家本元の公式ホームページでは、一貫して従来のエコシップを掲示しています。
このことほどエコシッププロジェクトのうさん臭さを表していることはありません。
エコシップができることは、これからも決してないでしょう。
ピースボート(ジャパングレイス)は、今回の就航計画破綻にもかかわらず、2年延期後のエコシップの募集を始めました。
しかし、貴殿が言われるように、SOLAS 2020の新基準に適合させるためという延期の理由は、ただの口実に過ぎません。
実際の延期の理由は、600億円といわれる巨額の建造資金を用意できないため、未だ造船契約を締結する見込みすら立っていないことにあります。
2年延期後には、申込者がいなくなるばかりでなく、建造資金もさらに上がるでしょうから、エコシップの建造は、不可能と言っても過言ではありません。