ピースボートは生き残れるのか?

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本来ずぼらな性格でほとんど更新しないこのサイトで3日連続で書くのはかなり久しぶりのことです。今回は一番重要なテーマで、このコロナ禍でピースボートは生き残れるのかという事です。

最初にあっさりと結論を書きます。正直言って分かりません。

かなり無責任な発言ですが、それはピースボートを運営しているジャパングレイスの現在の状況が全く分からないからです。

唯一分かっていることは、3月のクルーズが中止になった際に、払っていた旅行代金を返金すると言っていたのが、4月13日になって突如一括では返金出来ず、36回払いにして欲しいという話が一方的に出たことです。その理由がクルーズの運営を維持するための協力して欲しいという事でしたので、少なくとも返却すべき1500名の方に全額を返していたら、運営自体がかなりダメージを受ける状態であったのだと推測出来ます。

そして8月のクルーズも中止になり、返金しなければいけない方も増えたわけですから、より一層厳しい状態になっているはずです。

でもピースボートの旅行代金は多くの方が早割を利用されるのでほぼ全員と言って良いくらい、全額現金で支払われているはずです。もしその払われたお金が全額をきっちりと管理されているとすれば相当な現金を持っていると推測出来ます。

ちょっと計算してみましょう。今回中止になったクルーズが4隻分です。一隻に500人乗る予定だったとして、1人が払った旅行代金を仮に150万とすれば、乗る予定だった人数500×400で2000人、それで計算すると旅行代金として預かっていたお金は30億です。これだけを返さなければ行けなかったわけですが、これは少し少なく見積もったかも知れません。実際にじゃパグレイスに支払った旅行代金以外にオプショナルツアー代やチップ料、ポートチャージ代等を別に30万以上払われていますし、乗る予定だった人も4月の時点で1500人が返却要求と新聞に書かれていたので、もっと多かったかも知れません。(ただお金を返却要求された方は中止したクルーズ以外の方もかなり含まれていましたので、個人的には上記の人数ぐらいが本当の数字だと私は思っています)

それ以外にまだこれからクルーズする予定の募集しているのが世界一周クルーズが18回分ありますので、これらも現在1回のクルーズで300人の申し込みがあり、旅行代金が150万円とすれば、ざっと見積もって81億円になります。

その二つを足すとざっと110億円のお金をジャパングレイスは持っていることになります。ただすでに分割でありますが旅行代金は返されつつありますし、コロナ禍で運行出来なくなった以降の船の維持費や人件費、ジャパングレイスの維持費や人件費を引くと現状実際残っているのは100億円を割っているかも知れないですが、今すぐに会社がお金が支払えなくなり、倒産する状態ではないと思えます。

もちろん今分割で返している中止クルーズ分の旅行代金を一括で返却しても、お金は残るでしょうが、ここで一番大事なのはこのお金がジャパングレイスの資産ではないことです。旅行代金はあくまでお客様からの預かり金でいつかはお金を返すか、クルーズを実行するということで返す必要がある負債です。

だから現在のジャパングレイスの経営はこの負債のお金を食い潰して、ますます負債を増やしながら生き残っていると言えます。

では、いつまでこの状態で持ちこたえるのでしょうか? そして返却すべきお金は返すことは出来るのでしょうか?

その答えを出す前に考えなければいけないことが二つあります。

まず最初にエコシップの契約は行ったのか、そして着手金は支払ったのかという事です。

少なくとも、世界中のニュースソースを見る限りエコシップの契約は行われなかったという事ですから、当然着手金は支払われていなかったと推測出来ます。しかしジャパングレイス側はエコシップの工期が遅れると発表した際に、契約は済んでおり着手金も支払っていると言っています。

もし後者が事実であればエコシップの建造費が600億円以上かかると言われていましたから、着手金としての最低金額である一割を支払ったとしても、60億円のお金を渡していることになります。そして実際すでに造船に着工しているのであれば、今頃はあと100億円ほど払わなければいけない時点になっていると思いますが、これらの資金はすでに持っているのでしょうか?

もう一つの問題ですがそれは現在クルーズに利用している。オーシャンドリーム号とゼニス号ですが、ジャパングレイスの説明ではこの2隻はずっとチャーター船という事になっています。そのチャータ代が1クルーズ単位で支払っているのか、期間単位で支払っているのかは分かりませんが、現状はチャータ代を支払って運行しているものと思っていました。

ところが、今年6月にこのチャータ先であったスペインのプルマントゥールクルーズ社がコロナの影響で破産しました。そして運行していた3隻の船のうち、一隻は廃船となり、残りの船は売られることになりました。そこで気になるのはチャーター契約をしている、オーシャンドリーム号とゼニス号は同じ扱いにはならないのでしょうかと言うことです。

法律には疎いのでこのあたりは自信がないのですが、普通であれば債権者がこの2隻の返還請求をして売ってお金に換えると思います。オーシャンドリーム号は年数からいって売れる見込みが薄いでしょうが、ゼニス号と同じ頃作られた同社の船は6700万ドルで売りに出されていました。それから考えるとジャパングレイスに債権者からゼニス号を60億程度で買い取れと言って来ている可能性があるのではと思ってしまいます。

少なくとも、この破産騒動以降にゼニス号の2023年のクルーズを発表されましたので、ジャパングレイスとしては、運行が出来るという自信があると思います。これは買い取ったかチャーターの延長を承認させたのだと思うのですが、チャーターの延長は債権者にとってはメリットがあると思えないで、やはり買い取ったのでしょうか?

もしこの2つの問題のうちどちらかでも、多額のお金を支払っていたらジャパングレイスは正直言って明日潰れてもおかしくないと思います。

またもうすぐ12月のクルーズの予定がありますが、これも中止となればかなり苦しい状態に追い込まれるでしょうね。ただし上記二つの問題や無駄な経費を使わなければ乗り越えられる可能性はあると思います。

こうして乗り切って、仮に来年の春にはコロナ騒動も落ちつて運行出来るようになったとしても、苦難は続くでしょう。まず返さなければいけない旅行代金の分割が暫くは続きます。仮に3クルーズ分を返すとなると、毎月確実に1億5千万から2億円は返し続けなければ行けません。

また3月、4月に行った大安売りのキャンペーンと、旅行代金を返金したくないために通常より30%も安くなる「みらい乗船券」との交換や販売などで、ほとんど利益が出ない、場合によっては逆に赤字が出るクルーズが発生する可能性があります。

その結果クルーズは再開できたが儲かるどころか赤字が増える一方という事にもなりかねません。

最後にピースボートが生き残れるために絶対必要な要素として、エコシップが間違いなく2022年4月に就航出来る事でしょうね。

本当にエコシップが就航出来れば、話題性もありますし、海外からも申し込みが殺到するでしょう。少なくとも現存しているクルーズ船の中ではかなり魅力的ですしユニークな船ですから、多少高くても乗ってみたいという方が出ることでしょう。

そうすれば利益も生み、生き残れる可能性もかなり生まれますが、前の記事にも書いたようにエコシップに関しては全く分からない状態です。

正直言ってゼニス号に関しては、それほど集客力がある船とは思えません。実際現状でもオーシャンドリーム号の方が申し込みが多いです。

このまま行けば、ピースボートが生き残るのはかなり難しいと思います。もし生き残りたいのであれば、エコシップ計画が進んでいないのであればすぐに中止して、その費用を旅行代金の返済と会社の運営費に回すことでしょうね。(上に書いたことと真逆のことを書いているようですが、すでに計画が進んで予定通り運行出来るのであれば、コロナ禍以前にある程度の資金のめどが立っていたと思いますので、その為良い結果が生まれると考えるからです)また今の2隻体制もやめて、取りあえずゼニス号一本にして値段をオーシャンドリーム号並みにして運航するのが一番ではないかなと思います。確かに2隻体制にすると利益も2倍になりますが、今回のような非常事態になったときは被害も2倍になるという事です。だから出来るだけ損害を避けられる経営が一番と考えます。(船の運営費用を考えるとオーシャンドリーム号一本にすることが良いのですが、すでに基幹部分がかなり老朽化しているので、そう持たないと思います)

ただしこれらも全て預かったお金は全てきっちりと管理されていることが前提です。すでにかなりのお金を使い込んでいたら目も当てられません。

でも少なくとも現状ではまだ倒産するという話は出ていませんので、望みはあると思います。

もしピースボートが無くなるようなことがあったとしても、それまでに預かっている旅行代金だけはきっちりと返済出来るまで持ちこたえて欲しいです。

いま倒産するとなれば少なくとも数十億の被害は出るでしょうから。それだけは避けて欲しいです。ジャパングレイスさんにはそれだけはお願いしたいです。

コメント

  1. ピースボートを応援する高齢夫婦より より:

    昨日DMが届きました。
    2021年春よりパシフィック・ワールド号(旧サン・プリンセス号)一隻体制として「あらたな世界一周クルーズ」をスタートする、との挨拶が同封されていました。2023年南回りに乗りたいと考えていましたので、よくわからないです。4隻体制になるのでしょぅか?どなたか教えていただけないでしょうか。

  2. Den より:

    Denです。
    パシフィックワールド号のこと、私も聞きました。
    同封の案内書によると、どうも今のオーシャンドリーム号とゼニス号を撤退させて、来年の春からは、1隻体制になるようです。
    ただ、4人部屋をなくしたりしているので、コロナの一時的な処置として2021年度のみの対応かも知れないですが。

    この件に関してはもう少し調べて記事にしたいと思っていますので読んでいただければと思っています。

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