102日目:最後の宴会

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2016年11月28日(月)
昨日は早く寝すぎたせいか、朝は非常に早く目が覚めてしまった。
早く起きても何もすることがないのは分かっているのに、もうこれ以上眠れないという感じで仕方なく起きた。

朝早く起きてもすることがないので、まだ薄暗い船内をぐるっと回ってそれから8階ロビーの椅子に座って家にメールをする。「もうすぐ家に帰るから迎え頼む」のメールだった。

船は既に日本のすぐ近くまで来ていたけれどまだ島影は見えなかった。でも気分は完全に日本に帰っていた。

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部屋に戻って洗面所に立ってから朝食を食べに行った。いつもの見慣れた朝の風景なのに何だか今日は違って見えた。

その後は船内テレビを見て、本を読むという相変わらずの時間つぶしの時間帯だった。
今日は全く企画自体がなく、唯一ブロードウェイで映画が行われるぐらいなの日だから、本当に何もなかった。

唯一今朝、いつもと違っていたのは、部屋の入り口付近に段ボールの箱がいくつか並べられていたことだった。明日降りる同室のオノちゃんの荷物だ。

 

これからその荷物の個数を確認して昼から3階の倉庫まで搬送するためだった。

10時前にはピースボートのスタッフ数名が部屋に来て段ボールの数を数えて何かシールを貼って出て行った。後は勝手に運び出してくれるそうだけど、なんだか部屋がいつもより広く感じた。

 

オノちゃんと一緒に昼食を食べに行き、少し船内をぶらぶらして部屋に戻ったら段ボールはなくなっていた。何だか部屋がガラーンとしたようで、ますます部屋が広くなった感じがした。

 

他の仲間も横浜で降りるので今頃荷物の搬送している頃だろうなと思った。明日の今頃はもう皆降りてしまって私だけが残される。なんだかそう考えると凄く寂しい気分になり気持ちがとても沈んでいくのが分った。

 

それを忘れるために今度は自分の荷物を段ボールに詰める作業にかかった。神戸から乗船したときに持ってきた段ボールはかなり破損していたので、その修復から初めた。かなり穴だらけになっていたいたので、一カ所一カ所ガムテープで補強していった。それだけで一時間近くかかり汗が出る。それから荷物を段ボールに詰めていく。嫌なことを考えないようにするために一心不乱に荷物の梱包に励む。なんかすごく体が熱くなり、くたくたになりながらも荷物を梱包していた。

 

実は昨日ぐらいから船がずいぶん揺れ始めていた。この期に及んでというくらいに揺れて、荷物を詰めていると本当に気分が悪くなる。それでも荷物の梱包作業は止めなかった。

おかげで作業が終わった後はベッドの上に倒れ込んでしまった。とにかく私も帰る準備が出来た。これで本当に終わりが近づいたと思った。

 

その後は本当に何もやらずに、同室のオノちゃんとずっとおしゃべりをしていた。明日にはもうこの生活は終わるのにしんみりとした話ではなく、相変わらずたわいもない話をして笑っていた。それが良かったんだと思った。こうして笑える人がいて本当に良かったと思った。

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そして仲間みんなで食べる最後の夕食の時間になった。
気分はいつもと同じだった。特にしんみりともしなかった。相変わらずバカ話をずっとしていた。そしてレストランを追い出されるまで話していた。何だか気分的にはまだまだ旅が続くような気がした。とてもこれで終わりだという感じはしなかった。

でも終わりが確実に近づいていていることは分っている。だからその後、自然と飲み会を開こうという雰囲気になって波へいにみんなで行った。波へいも今日で最後だからかなり混んでいるかと思ったけれども意外とすいていてあっさりと人数分の場所が確保できた。そして最後の宴会が始まった。

 

そこでも相変わらずいつもと変わらないテンションでずっと話をした。誰も明日で終わりなんて思っていないようなそぶりで話は盛り上がった、心のどこかではもう終わりと分っているのだけれども誰もそれを言い出したくないという感じがあったのかもしれない。結局いつもと変わらない雰囲気で楽しい時間が過ぎていった。本当はもっともっと話したかった。もっと旅を続けたかった。でも時間は待ってくれなし、いつかは全ては終わるのだから、それでも最後の最後まで楽しみたかった。仲間とずっと話していたかった。気がつくと11時過ぎまで飲んで、話を楽しんだ。自分でも声がかれるぐらい笑い楽しんだ。それから一人一人にありがとうと言って仲間と別れた。それだけだ。本当にこれで終わりなのと思うほど、意外とあっさりした別れだった。

 

この日は何となく悶々として寝付けなかった。なんだか私一人だけ置いてけぼりになったような不安感が体中を包んでいた。
これで本当に旅も終わったのだなと思うと、涙が出た。

今日ほど明日が来てほしくないと思った日はなかった。

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