エコシップの完成が2020年から2022年に延期された事に合わせて、ジャパングレイスは2020年からエコシップの代りに別のクルーズ船をチャーターしてピースボートを2隻体制にすると今年の1月に発表されていました。そして4月にはその代替船と新航路の発表をすると言っていましたが、7月になっても一向に発表される気配がなくって、またいつもの都合のよいことだけ言ってジャパングレイスはごまかすつもりかと思っていた矢先、昨日新クルーズの案内書が送られてきました。
封書には「ワンランク上の世界一周クルーズのご案内」と書いてあったので、今度のライバルは飛鳥のつもりなのかと思いつつ、封筒の中身を空けて読んでみました。
と言うことで、新クルーズ船ピースボート2をご紹介させていただきます。
ゼニス号君です。(^_^;)
ちなみにどんな船だと言いますと。
建造年は1992年なので、今年で27歳かな。比較的老体ですが一応現役でクルーズしている船で、とりあえず、オーシャンドリーム号や飛鳥2よりは若いです。2006年に全面改装もしたそうですしね。
船としては、
総トン数は47,413トン 全長208メートル、 全幅29メートルと今のピースボートより一回り大きいかなという感じです。
その割に乗客定員は1828名となっていますので、ちょっと狭苦しい感じがしますが、現状のクルーズでは1400名程度の定員で運行していますので、補助ベットを全部使った状態の人数と思われます。
でもピースボートは4人部屋が標準だから定員いっぱい乗るかな。
ちなみに出来た当時は豪華客船としてデビューして、クルーズ船として5つ星をもらったこともあるそこそこ有名な船だったようです。
設備はレストラン、バー、居酒屋、劇場などのピースボートのおなじみの設備以外に、ビュッフェレストラン、ジム、スパ、カジノ、ディスコ、ショッピングエリア、図書室等もあるそうですが、ピースボートでカジノはやるのかな。べつに違法でもないけど100日以上乗っていると大儲けする人も出るけど、破産する人も出るかもね。
ということで設備は結構整っているという感じです。特にスパとショッピングエリアはかなり力を入れている船のようです。
少なくともオーシャンドリーム号よりはかなりレベルは高いかなと思いますが、最新の船と比べるとちょっと落ちるのは仕方がないですね。
オーシャンドリームと大きく変わった事は設備以外でもありました。
まず船内WiFiですが、今まで船内の一部区域だけでしか使えなかったのが、今回は船室でも使えるようになったそうです。
次に夕食ですが、これも今までは定食形式の一種類の料理のみだったのですが、アラカルト形式でメニューから自分の食べたいものを選べる形に変わりました。
まあこの二つとも普通のクルーズ船では当たり前のことなんですが、ピースボートとすれば大進歩かなと思います。
そういえば、サービスがアップしたためか、今まで船内チップが一日500円だったのが、800円と大幅に上がっていますね。それだけサービスに自信があるのかな。
ゼニス号の発表された3コースなぜか全部同じ料金で、
一番よく出るスタンダードとエコノミーのみ書きますと、
正規料金で
スタンダード 248万(ペア) 198万(フレンドリー)
エコノミー 228万(ペア) 175万(フレンドリー)
とオーシャンドリーム号と比べると20,30万ほど高いです。
ただ早期割引料金で見ると意外なことが分ります。
スタンダード 185万(ペア)63万割引 150万(フレンドリー)48万割引
エコノミー 170万(ペア)58万割引 135万(フレンドリー)40万割引
とかなり値引きが入りますので、同時期のオーシャンドリーム号のコースと比べて5万から10万くらいに縮まります。
なおかつペアの部屋はセミシングルとしても申し込めるので、それで考えると逆に最大12万も安くなる部屋もあります。
まあ発表が遅かったために起った現象ですが、第1回出航まで9ヶ月を切っているのに、この割引率は脅威です。今から考えている人はピースボート2も選択肢ありかなという感じがします。
ただ断っておきますが、早期割引を使う場合は期限までに現金で全額支払う必要があります。(クレジット払いは出来ません)
そしてジャパングレイス自体が決して大きな会社ではないので、明日どうなるかははっきり言って分りませんので、申し込みされる場合はじっくり検討して自己責任で申し込んで下さいね。
個人的には、いくらクルーズブームだと言っても、急に倍以上の旅客を扱うのはかなり厳しいんじゃないかなと思っております。正直言って世界一周のようなロングクルーズに行きたいと思っている人がそれほど多いとは思えないのは私だけなんでしょうかね。
あと、エコシップを申し込んでいる人に変更してもらいたいのかなと思ったりもしますが、その割にはそれほど魅力的な船でもないし、コースも普通なので何が目的なのかもう一つ分りません。
今のピースボートも3割方中国系の外国の方が占めるようになっているので、そちらの方の営業活動をメインにジャパングレイスは考えているのでしょうかね。
それ以上にエコシップの現状を発表して欲しいですね。造船を請け負っている会社自体がまるでエコシップの話がなかったような扱いしか発表していないので、個人的には不信感が増します。
本当どうなるのかな。
コメント
Den様の迅速かつ正確な情報分析に心より敬意を表します。
昨日まで旅先だったため時間的余裕がなくてコメントが出来ませんでした。
この度のピースボート(ジャパングレイス)のTHENITH号の発表については、少しく疑問がありますので、以下に申し述べさせていただきます。
去る1月にピースボート(ジャパングレイス)が、エコシップの2年延期とともにエコシップの代船を出すことにしてその船名を4月までに明らかにすると発表した際、代船の候補としては、ラプソディー・オブ・ザ・シー他2隻のうちの1隻とするとしていましたが、遅れ遅れて今月(7月)に入ってようやく明らかにされた船名は、上記3隻のうちのどれでもないTHENITH号だというのですから、当初のラプソディー・オブ・ザ・シー他2隻は、いわゆる当て馬でしかなかったことになります。
そもそもピースボート(ジャパングレイス)が、エコシップの代船を出すことにしたのは、ただエコシップの2年延期だけを発表すれば、エコシップ申込者の中から即時キャンセルするひとが続出してしまい総額50億円とも言われる申込金の返金が出来なくなってしまうので、これを出来るだけ防ぎたいとの思惑からだったのでしょう。
ところで、そのTHENITH号ですが、下記WEBサイトをご覧いただけばわかりますが、既に来年2月22日発カナリア諸島などクルージング11日間の予定が組まれていて一般に募集をかけているのです。
https://tour.club-t.com/tour/relation?p_company_cd=1002000&p_from=800000&p_baitai=923&r=KAN88803&p_baitai_web=CR54#_ga=2.152629881.1579760109.1562756103-1262750939.1562756103
代船の第1回就航が、来年4月8日ですから、THENITH号が最後のカナリア諸島などクルージングを終えてからひと月あまりしか時間がありません。
果たしてその間にTHENITH号に4人部屋を設けたりカジノルームを改装したりしたうえ、横浜まで回航することが可能なのでしょうか。
それにTHENITH号のリースを受けるためには、船主に多額のリース料を支払わなければなりませんが、アークテック・ヘルシンキ造船所が資産譲渡により無資力になってしまい既払の契約金(もし支払っているのであればですが)の返還を受けることができなくなっている状況の下では、リース料支払の原資がないということになりかねません。
このように考えると、THENITH号も上記ラプソディー・オブ・ザ・シー他2隻と同様に単なる当て馬に過ぎず、本命は既存のオーシャンドリーム号ではないのかとの疑念が生じます。
それとエコシップ申込者を代船へ振り替えれば、その分肝心のエコシップ申込者がいなくなってしまいエコシップの資金資金もなくなるということです。
ピースボート(ジャパングレイス)自身が、エコシップの建造を諦めているからこそ出来ることではないでしょうか。
前記コメントに誤記がありましたので訂正方々改めて問題点について論じます。
先ずTHENITH号の最終クルージングの出航日について来年2月22日と記載したのは、正しくは2月14日ラス・パルマス発でしたのでこの旨訂正します。
THENITH号が、この最終クルージングを終わってラス・パルマスに戻るのは2月21日ころになります。
それからTHENITH号をピースボート仕様に改修するためには、造船所がある港まで回航しなければなりません。
バルセロナの造船所であれば、そこに着くまで2日はかかるでしょう。
その際、国際海洋汚染防止条約に則った排ガス浄化装置(スクラバー)の取付も行う必要が出てくるのではないでしょうか。
それらを全部含めた改修工事に一体何日かかるのでしょうか。
THENITH号の全スタッフの入れ替も必要になるのではないでしょうか。
THENITH号は、それまでカナリア諸島周辺の10日間程度の短期クルージングに従事していたもので3か月半に及ぶ世界一周クルージングは初めてでしょう。
スタッフの大幅入替とスタッフに対するトレーニングが必須になるでしょう。
THENITH号は、それらの問題を全てクリアーしたうえで、横浜から4月8日に出航することは果たしてできるでしょうか。
ZENITH号には、極めて大きな問題があることが判明しました。
https://en.wikipedia.org/wiki/MV_Zenith
上記英文ウイキペディアのZenith号に関する記事のFiresの項目には、ゼニス号の事故歴が記録されています。
すなわちゼニス号は、27年前の1992年に建造された後、2回にわたり船内火事を起こしているのです。
第1回目は、2009年8月8日、ストックホルムのフリハンネン港に入港しようとしたときに発生した火災でそれによりゼニス号は船尾部分を損傷しました。
第2回目は、2013年6月26日、エンジンルームから突然出火してエンジンが動かなくなってしまった事故で、4隻のタグボートが曳航しに来るまでの間ヴネチアの沖合17マイルのところに停泊しなければなりませんでした。
そしてゼニス号は、1週間後に修理のためにトリエステ港のサンマルコ造船所に入港しました。
他方、和文ウイキペディアのゼニス号の項によれば、ゼニス号は、同年に外側船室62室にバルコニーを設けるなどの大改装を行っていますが、これは上記出火事故に伴う船舶修理の際にそれを兼ねて行ったものと思われます。
ゼニス号は、翌年の2014年にスペインのプルマンツールからフランスのロジールというクルージング会社に譲渡されましたが、2017年には元のプルマンツールに買い戻されて、もっぱらカナリア諸島周遊の10日間程度のショートクルージングに従事していました。
プルマンツールは、ゼニス号がこういう深刻な事故歴のある船なので、SOLAS2020の排ガス規制直前に、渡りに船とばかりに当初のカナリア諸島クルーズ計画を途中で打ち切ってまでも、ピースボートに譲渡したものと考えられます。
このような重大事故歴のある信頼性の極めて乏しい船舶を3か月半という長期に及ぶ地球一周クルーズに使うのは、大変危険なことです。
もし何年か前のピースボートのように、大洋を航海中に船内火災が発生したり、機関故障により洋上を数日間も漂流するような大事故が起きたら大変です。
これはまさしくエコシップという羊頭を掲げて集めた顧客に対し、その実狗肉(犬の肉)を売りつけるという古典的な羊頭狗肉の詐欺商法というべきではないでしょうか。
ZENITH号は、非常に危険な船であることが分かりました。
下記サイトをご覧ください。
https://www.cruisemapper.com/accidents/Pullmantur-Zenith-737
ZENITH号は、1992年に就航して以来現在までの間に、深刻な火災事故が発生したことにより1300名以上の乗客が航海途中で避難を余儀なくされたことが2回もあった他、座礁事故、他船との衝突事故、ノロウイルスの集団感染3回など数多の事故が発生しています。
ZENITH号は、これまでは一週間程度のカナリア諸島クルージングなどに従事していたので、万が一の事故が発生しても迅速な対応が可能だったと思われますが、これからは3か月半にわたる地球一周クルーズに従事することになると、航海途中で上記のような事故が発生すれば、大変なことになります。
ポセイドンアドベンチャーという映画を覚えているひとも多いと思いますが、太平洋、インド洋、アラビア海、大西洋などを航海中に上記のようなエンジンルームが丸焼けになり船内のすべてのエネルギー供給が不能となりブラックアウトになるというような事故が発生した場合は、さながらポセイドンアドベンチャーの再来になりかねません。
そうなったら、必ずや多くの犠牲者が出ますね。
ピースボートは、いくらエコシップを運行できなくなったからといって、このような危ない船を代替船に仕立てるのは非常に無責任です。
ピースボートは、顧客に対し、ZENITH号についてのこのような事故情報を事前にすべて開示すべきではないでしょうか。
ZENITH号とエコシップの行方は、果たしてどうなるのでしょうか。
ピースボートの海外向け下記サイトでは、ZENITH号とOCEANDREAM号については詳しく紹介しているのに、エコシップについては、何ら触れていません。
https://pbcruise.com/pb_02
エコシップは見込みがないので、海外にまで宣伝・募集を行って後の始末に困る必要はないということなのではないでしょうか。
英文WIKIのZENITH号のページでは、2020年初頭にはプルマンツール社を離れてPEACE BOATに譲渡されると書かれています。
ピスボートは、ZENITH号の受け皿がなければ、独自でZENITH号を運行することはできないでしょう。
他方、OCEANDREAM号の運行会社たるSEAHAWK社もその親会社たるMARITIME HOLDINGS社も、未だZENITH号に関しては何らの発表もしてはおりません。
ZENITH号は、船齢30年近いとしても、その売買代金は、少なくとも50億円を下回ることはないのではないでしょうか。
ピスボートは、プルマンツール社に売買代金を支払ってZENITH号の引き渡しを受けたうえ、SOLAS2020規制に適合するようなスクラバー設置工事とその他の改修工事にも多額の費用を要することでしょう。
スクラバー設置工事とその他の改修工事費を合計すれば、少なくとも30億円程度はかかるのではないでしょうか。
結局、ZENITH号を出すのには、それら合わせて少なくともざっと80億円程度が必要になりますね。
その他、通常の運行経費(燃料代、人件費、停泊費、資材費等)がかかりますから、資金繰りは難しいでしょうね。
ピスボートは、もともと資金的裏付けがあったからZENITH号をやることにしたというわけではなく、エコシップが延期になってしまった以上、何としてもその代替船を立てなけばならなくなりZENITH号を出すことにしただけなのです。
プルマンツール社は、2020年以降にZENITH号を運行するためには、スクラバー設置工事や改装工事に多額の費用がかかることになることから、採算を考えて折良くオファーのあったピスボートに譲渡することにしたのではないでしょうか。
ZENITH号には、異常に事故歴が多いことも譲渡決断の理由になったのかも知れません。
前にも書いたことですが、ピースボートは、エコシップ延期発表の土壇場までエコシップは順調に建造中であり就航日には必ず間に合う旨公言してきたのですから、ZENITH号についても、就航日の土壇場まで出るのかどうかは分かりません。
同じような時期に同じようなコースでZENITH号とOCEANDREAM号を2本立てでやるのですから、ZENITH号にばかりに参加者が集まり、他方OCEANDREAM号には参加者が集まらず採算割れしてしまう可能性もあります。
そうなれば、OCEANDREAM号とZENITH号は共倒れしてしまう可能性も高いです。
仮に、何とか第1回が出せたとしても、第2回以降は極めて不透明と見ざるを得ません。
最近、旧アークテック・ヘルシンキ造船所のWEBサイトが閉鎖されました。
それに代わって、新しくアークテック造船所の下記サイトが立ち上げられました。
https://helsinkishipyard.fi/en/products/passenger-ships/
このサイトを隈なく読めば、ピースートの名もエコシップの名も全く出てこないことが分かります。
新アークテック造船所は、旧アークテック・ヘルシンキ造船所がピースボートとの間に交わしたエコシップのLOI契約を承継しないことが明白です。
そこで、他方、WIKIに新しく搭載された新アークテック造船所の下記サイトを読めば、新アークテック造船所が受注している造船の全てが記載されているのにもかかわらず、エコシップの受注については何らの記載もないことが分かります。
すなわち、新アークテック造船所は、ピースボートからエコシップの建造を受注していないことが明白なのです。
しかも、新アークテック造船所の船台は、2022年まで受注済みの他の造船で満杯になっていますから、この間にエコシップが割って入る余地はありません。
https://en.wikipedia.org/wiki/Helsinki_Shipyard_
以上によれば、エコシップの2022年4月就航はないものとみざるを得ません。
それにもかかわらず、ピースボート(ジャパングレイス)は、現在もせっせとエコシップの申込募集を続けているのは一体如何なることでしょうかね。
(長文を避けるため英文サイトの翻訳は入れませんでした。)