現在世界中に新型コロナウイルスが流行し、日本でも確実に感染者が増えています。
その感染者の大半がクルーズ船ダイヤモンドプリンセスで発生しています。
感染源は横浜から乗られた香港の方なのですが、乗っている期間がわずか5日だったのに、2020年2月7日現在61名の方が感染されています。
3770名の乗客乗務員のうち、検査されたのは273名で、その中での感染者数ですからかなりの感染率だと思います。
武漢からのチャーター便の帰国者に比べても、かなり高いですからクルーズ船では何故こんなに高くなるのか心配される方が多いと思いますので、個人的にクルーズで体験したことを踏まえ私の私見を述べたいと思います。
ちなみに私は医療関係者でもありません。詳しい知識があるわけでもありません。ただクルーズ船内で見たり経験したり事を述べているに過ぎませんが、その話は決して誇張したことでもなく事実です。
まずクルーズ船では多くの人が集まる機会がかなり多いです。
クルーズの最大の楽しみはイベントでダンスパーティーやショー、カルチャースクール、講演などが目白押しで、クルーズ中は色々なイベントに参加するために船内を忙しく廻るという生活なので、本当に多くの人と接触します。そのうえ会場は多くの場合すし詰め状態で周りの人と濃厚接触しています。ある意味うつって当然という状態です。
それ以上に濃厚接触する一番の機会は、食事の時です。
多くのクルーズの場合は8人から10人くらいの大型テーブルで不特定多数の方と相席になります。特にディナーの時は食事時間だけでも2時間近くなるので、その間ずっと濃厚接触していることになります。
朝食や昼食ではビュッフェ形式での食事の場合が選べ、席も自由で選べる場合が多く、食事時間も短いので感染するリスクはかなり減ると思われますが、料理をトングで取るので不特定多数人の方が触った物を使い回すことになり、その為の感染率がかなりあると思います。
ダイヤモンドプリンセスで感染された方の多くも、こういう状況の中で感染されたのだと思います。
クルーズ船を運行される側もそのあたりは普段から理解されており、常に食堂の入り口には消毒液を置いていたり、船内の手すりも異常と思えるほど普段から消毒されておられました。
でもいくらそういう対策を行っても、人が密集する機会が多く近距離の飛沫感染があるので、マスクをしない限り防ぎようがないです。その為今回も広がったのではないかなと思っています。
ちなみに、クルーズ中にそのような感染症の症状が出たら船の医療施設でしっかりと対応してくれるのかと心配になると思いますが、正直言って全く期待出来ません。
まず医療設備は殆どありません。一般の町医者レベルもありませんし、検査が出来る設備もありません。今回のコロナウィルスではレントゲン写真で肺炎などを発生していることを調べる必要がありますが、そんな設備もありません。薬も自宅の常備薬の毛が生えた程度の物しか持っていません。
だから今回の場合でもクルーズ船に乗っている限りは絶対に発見出来ないですし、せいぜい風邪ですねという診断で風邪薬が処方されて終わりというでしょうね。
それでは船の中で大病になった場合はどうするのかというと、緊急搬送という形で船から強制的に降ろされます。その間の入院費や治った後の日本に帰国する費用は当然自費です。(旅行保険に入っている場合は帰って来ることがあります)
緊急搬送と言っても寄港地で降ろされるのはまだましです。猶予がない場合は緊急に予定外の港に立ち寄ることになり、クルーズ自体の日程が大幅に狂ってしまうと言う事も起こります。
それ以上に恐ろしいのは太平洋や、大西洋などをクルーズしているときで近くに寄港地がない場合です。治療が出来ずに亡くなる場合も少なからず起こりうるます。
そのため医療施設が船にあるからと言って体調が悪い方や持病がある方は長期クルーズをお勧めしません。クルーズに乗ったら健康管理は自分で行うのが前提だと思って下さい。
ここまでクルーズ全般的な事を書きましたが、長期のクルーズ、例えば世界一周クルーズなどの場合はかなりの区間、濃厚接触する機会があるので、普通のクルーズより要注意です。乗っている間は分かりませんし、治療も出来ず、ただ感染が広がっていくだけです。
私自身長期クルーズはピースボート、それもオーシャンドリーム号しか乗ったことがありませんので、そこで経験したことを書かせていただきます。
私が乗ったのは真夏でしたが、乗った直後から船の中で夏風邪が大流行しました。
オーシャンドリーム号の場合は4階のレストランはスタッフが勝手にどんどん席を詰めさせられます。その為他のテーブルが開いているのに、いつも満席の席で食事をすることになります。またテーブルが円卓だったのでかなりの人と濃厚接触状態に常になっていました。
私はそれが嫌で9階のリドデッキで他の人から離れる形で食事を取っていました。ただ夜は基本は4階のレストランでの食事なので、船友を作り必ずその人達と一緒に食事をするようにしていました。
イベントや食事などで多くの人が感染したのか、実質半数近くの方が風邪の症状になっていました。一番ひどい時期は食事にもでられない方が多数出たため、レストランがかなりすいていました。
その為医務室も多くの人が診察を求めて大混乱状態。やっと診てもらっても風邪薬がもらえるだけでかなり高額の診察料が取られて、これだったら持ってきた風邪薬飲んでいたら方がましだと言って、後で発病した多くの方は結局医務室にも行かなかったです。
その夏風邪の大流行は結局10日ほどで大分収まりましたが、その時船で感染したら一気に広がるんだなと言う事を学び、それからはうがい手洗いをかなりするようになりました。
次は船の衛生面です。
オーシャンドリーム号も他の船と同じく、レストランの消毒、手すりの消毒は行われていました。
ただ船自体がすでに40年近く前の船のために、かなり全体にガタが来ているというか壊れているというか。
まずトイレです。
とにかく流れない事が頻繁に発生しました。
一番流れなかったときは3時間以上使用不能になりました。
それもうちの部屋だけではなく船内全体で発生することがあり、そういう時は流れるトイレを探すために船内中、人がウロウロしておりました。
ちなみに流れない間は汚物はそのままです。使った後で流れないのが分かるパターンが殆どですから、大きい方などをした後はかなり困りました。
また時々トイレが逆流しました。クルーズ船のトイレは飛行機のトイレと同じように空気で吸い込むタイプなのですが、何故か流した後に汚水がドバッと出てくることがあるんです。
私も経験しましたが、流した後真っ黒な水が大量に出てきてぞっとしました。他の部屋ではその水が溢れてしまい部屋まで浸水したところもあったそうです。
あとこれに関連してなのですが、汚水管からの水漏れが頻繁に起こっていました。
私の知人の部屋も水漏れが起こり部屋中が水浸しになったため部屋を変えられました。当然そのまま別の部屋になるのかなと思ったら、3日ほどして直ったから元の部屋に戻れと言われ戻ったものの、しばらく消毒液臭さが抜けなくって大変だったそうです。
それ以外にも私が把握しているだけで2件水漏れがあった部屋がありました。それに合わせて溜まった水が下の部屋に雨漏りのように落ちたという事も起こっていました。
また水漏れは部屋だけではなく廊下などでも頻繁に発生して、歩いていると床が水浸しになっているので慌ててスタッフがとんできて、その場所を通行止めにして大きなドライヤーみたいなもので床を渇かしていました。最初はビックリしましたが汚水管の水漏れがあまりにも多くって船を降りる頃にはまたやっているなと思うくらい感覚が鈍ってしまっていましたが、今、考えてみるとかなりの病原菌をまき散らしていたのかと思うとぞっとします。
最後にオーシャンドリーム号はとっても換気が悪いです。窓があっても開きません。(バルコニー付きの部屋もありますが、10室ほどです)
エアコンの調整も出来ません。
そのうえ他の船ではあり得ないドミトリータイプの部屋がほとんどです。最大4人が狭い空間で生活します。
見知らぬ同士が長期間一緒に暮らす。それがピースボートの売りなのですが、感染症などのことを考えるととても怖いことです。
今回のコロナウィルスからの教訓を生かしてクルーズのあり方も考えなければいけない時期になっていると思います。
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