昨日ピースボートのリピーター宛に下記の内容の手紙が届いた。
確かに、コロナウイルス騒ぎの影響でクルーズ催行が続々中止になっている現状から考えてジャパングレイスの資金繰りはかなり悪くなっていることは分かりますが、こんなキャンペーンをしなければいけないほど経営危機になっているとしか思えない内容です。
宅配のピザ屋さんではあるまいし、一回世界一周をするともう一回世界一周がついてくるなんてクルーズの世界では考えられない内容です。クルーズ船はそんなに儲けが出る商売ではないので、こんな赤字覚悟ですること自体正直考えられません。
取りあえず、今回のキャンペーンの内容をちょっと検証してみます。
対象になるためには2020年4月30日までにピースボートで世界一周クルーズを申し込んで早特割引きで現金で旅行費用を全額振り込んだ人だそうです。また一人1クルーズのみが適用されるとのこと。
そして申し込んだ後、最初のクルーズが終了して下船後に優待券という形で次のクルーズに乗る権利が得られるようです。ただし有効期限は2年以内という事なのでそれまでに乗らないと無効になるようですね。
2回目のクルーズは最初のクルーズと同じ船で同じグレードの部屋のみが対象になり、部屋のグレードを上げたい場合は差額を支払うことで使えるようです。逆に下げた場合は差額は返ってこないそうです。また最初に使った船のクルーズがなくなった場合は代替え船でのクルーズに乗れるそうです。
2回目のクルーズに申し込めるのは催行の6ヶ月前からのみで、それ以前に申し込んだ場合は通常の申し込みとして処理されるそうです。(要はその場合はお金がかかるという事ですね)
優待券で対象になるのは旅行代金のみで、その他の諸経費やオプショナルツアー代などはかかるそうです。(少なくとも20万から70万くらいはお金を払う必要があるという事ですね)
優待券で2回目のクルーズを申し込んで取り消した場合は、規定の取り消し料で優待券を返してくれるそうですが、この時の取り消し料はやはり正規料金から算出してになるのでしょうね。
ざっくりと内容を書きましたが、表面的に見た限りでは大変お得な内容だと思えますよね。
そのうえ、前に書きましたが「早得プラス」という制度を使うと一回目の旅行代金もチャラにすることが出来るので、そうなると2回もただでクルーズが出来てしまう可能性もあります。
もっとも諸経費やオプショナルツアー代はかかりますが、滅茶苦茶安い費用で世界一周が2回も出来てしまうとなると、ちょっとしたお金持ちの人なら早速申し込もうと思うかも知れないですね。
実際ピースボートのリピーターの中にはピースボートフリークと呼ばれる方が結構いて、今の危機状態を応援したいという気持ちで申し込もうと思う人もいるでしょうね。
でも、ここで考えなければいけないのはジャパングレイスの今後です。
コロナウイルス騒ぎの影響で、世間の認識はクルーズブームから脱クルーズブームになってしまっています。それどころかクルーズに対して嫌悪感を持ってきている人が多くなってきているのも事実です。
その為コロナの終息宣言がでても、クルーズブームが戻ってくる可能性はかなり少ないと思われます。そんな時期に一気に売り上げを伸ばそうとして船を2隻体制にしたジャパングレイスとすれば、本当に大打撃で不運だったとしか言えないです。
でも企業として運営していかなければいけないので、お金はかかります。
今オーシャンドリームは本来なら春のショートクルーズに出ているはずだったのに、先月22日から広島港周辺をウロウロとしています。一応発表ではメンテナンスの為のドッグ入りのため待機しているそうですが、すでに一月近く漂流状態です。
また華々しくデビューする予定だったゼニス号はギリシャでピースボート仕様に改装後、4月1日に神戸港につく予定でしたが、未だギリシャの港に停泊したままです。
春のショートクルーズ、オーシャンドリーム号104回クルーズ、ゼニス号第1回クルーズと立て続きに中止が決まった今は、夏のショートクルーズまでジャパングレイスさんは全く収入がない状態になっています。
それ以降のクルーズも現状の世界情勢から考えて催行される可能性はかなり不透明です。
そんな状態でも2隻の船のチャーター料とジャパングレイスとピースボートの運営にかかる諸経費はかかってきます。
これらの費用は少なく見積もっても数億円あるいは、十数億円ぐらいはかかっているのではないかと思われます。
確かに大企業であれば、この程度の金額はたいした事ではないでしょうが、所詮資本金5000万円のジャパングレイスさんからするとかなりの負担になっていると考えられます。
そんな状態だからこそ、少しでもお金が欲しいという気持ちから「早得プラス」や「2回目の世界一周プレゼント」などという採算度外視の企画を立て続けに行っているとしか思えません。
確かにこういう企画でいくらかのお金は集まるとは思えますが、それは儲けではありません。人から一時的に預かったお金ですから、それは何らかの形で返さなければいけないものです。
この預かったお金を流用することで、今回のコロナウイルス騒ぎを何とか乗り越えられたとしても、結果的には負債が増えるだけで根本的な解決にはならないでしょう。
今年の夏ぐらいから信じられないくらいのクルーズブームが来て、ピースボートのクルーズも毎回完売状態が続くような事があるのなら危機から脱出する事は出来るでしょうが、現実はそう甘くはないと思います。
非情なことを言うようですが、ジャパングレイスさんは現状を正直に発表して今預かっているお金を出来るだけ返金し、一度会社を整理してからやり直すぐらいの覚悟がない限り、第2のてるみくらぶになることはかなりの現実味を帯びてきていると思います。
今こんな採算度外視のキャンペーンをする暇があるのなら、もっと他にやらなければいけないことがあるのではと思っています。
今回のキャンペーンの内容は、末期症状で苦しんでいるとしか読み取れない内容としか言い様がありません。
追記;2020年3月19日
これを書いた後、アドセンス広告やピースボートの公式サイトでもこのキャンペーンを大々的にPRを始めました。
正直言ってリピーター相手のキャンペーンならば、一部のピースボートフリークの方がいるので、ジャパングレイスを救済するためならば、お金が返ってこなくっても申し込みをしたいといる人もいるでしょうから、止めようとは思いませんでした。
でもアドセンス広告やピースボートの公式サイトを見る人の中には、ジャパングレイスと言う会社の現状をよく知らないクルーズ初心者の人も多く見ると思います。そういう方がこれらの広告を見て、凄くお得な話だと思い申し込み、結果催行もされず、支払ったお金も返らない自体になる可能性がかなりの確率である現状で、こんなキャンペーンを大々的に流しているジャパングレイスという会社に対して個人的にかなりの怒りを感じます。
はっきり言います。世の中にはうまい話なんてそんなに転がっていません。そんな場合は必ず裏があります。企業はボランティアで商売していません。損害を出してまでお客様を優遇してくれないことをよく考えて、このキャンペーンを見て欲しいと思います。
コメント
Denさまの上記考察は、まことに正しいものと評価します。
正しいこととは言いながら、ピースボートの現状を客観的かつ正確に分析したうえ問題点を厳しく指摘することには、大変な勇気が要ったことでしょう。
これひとえにひとりのクルーズ愛好家としての素朴な正義感から出たものと心より敬意を表します。
Denさまが触れられていないことに関してひとつだけ付加させていただきます。
それは、ピースボートがエコシップで集めたお金は一体どこに行ってしまったのだろうかという疑問です。
文春報道によれば、ピースボートは、エコシップの申込金名目で60億円程度を集めたろうということです。
もしピースボートの手元にこの60億円が残っているのであれば、これを当座の資金繰りに使うことが出来るわけですから、今回のような常識外れの資金集めに狂奔する必要は全くないのです。
逆にみれば、ピースボートは、これをZENITH号およびOCEANDREAM号のリース料、改装費、申込解約返戻金、人件費などの諸々の費用に充ててしまい、今や残りはほとんどなくなっているということなのではないでしょうか。
そうであれば、エコシップのみならずZENITH号およびOCEANDREAM号の運行も極めて困難とみざるを得ないでしょう。
ピースボートについて調べていて、こちらにたどり着きました。
DENさまのご指摘、正しいです。
知人が今年12月出発のゼニス号クルーズに申し込んでいましたが、
コロナウイルス感染拡大で不安になり、2月にキャンセルしました。
ピースボートは「3週間で返金します」と言ったそうですが、
その3週間が過ぎた頃、「口座を確認したいので、入金が4月末になる」と連絡が来たそうです。
その一方で、ゼニス号の華々しい新聞広告が出続けています。
完全に倒産寸前の企業の自転車操業状態としか思えません。