99日目:何もかも終わった

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2016年11月25日(金)
朝はいつものように5時40分に起きる。今日が最後の太極拳の日。

薄暗い光の中で、優雅に体を動かす。いつも流れているBGMを何故か口ずさみながら太極拳の動きをする。太極拳は結局最後まで動きを覚えきれなかったことがちょっと残念だった。

それほど難しい動きでもなかったし、一通りの動きを全部やっても5分ほどだったのだけど、何故か覚えられなかった。

でも毎朝優雅に体を動かすことが好きだったから、動きを覚えることは別に重要じゃない。それはそれで良いのかもと思いたい。

それに、なんだかんだと言っても、時々サボったが何とか最後までやり遂げた。考えたらカルチャースクールで太極拳、ノルディックウォーキング、サルサ、ヨガと4つもやり切った。それも結構まじめに出て真剣にやっていたから、自分としては上出来だと思う。

ただこ日本に帰国してから運動を続けるかどうかとなれば正直自信がない。やらなきゃいけないとは思うけど何となくサボってしまいそうだ。せっかく少しは痩せることが出来たのだから継続しなければ意味がない。でもやっぱりやらないだろうな。

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朝食の後、また船内テレビで「北の国から」を見てしまう。これも今日で最終回だ。みんな終わってしまい、気がついたら最後には何にも残っていないのかもしれないなと思うと不安になる。

明日からはカルチャースクールも見たいテレビもなくなってしまうと思うと、本当時間をつぶすのが難しくなる。本を読むか誰かとおしゃべりするぐらいか。

それともやっぱり昼寝をして時間がたつのを忘れる方法をとるかな。でもせっかく残り少ない船旅の時間だ。何とか有効に過ごせる方法を考えなければ。

テレビを見終わったら、ヨガに出た。これも最後だ。ヨッシー先生がアイスランドで降りてからはヨッシー先生の教え子達が交代で講師を務めてくれて、なんとかヨガの時間が続けられたことはありがたかった。また一所懸命に教えてくれた彼女達にもとても感謝の気持ちでいっぱいだ。これで私がピースボートでやっていたことは全て終わってしまった。少し脱力感と寂しさだけが残ってしまった。

 

昼食後は部屋でゴロゴロしていた。特に何をやる気も起らず、何もできないという状態だ。ただ時間だけが凄く長く感じる。何か講座でも出ようと思って船内新聞を読むけれど興味がわくものがなかった。同室のオノちゃんと少し話はするけれど、それも長続きがしない。本当燃え尽きてしまったか。

 

心の中では下船に向けての荷物整理ぐらいは始めなければいけないとは思っていた。それで少しは気もまぎれると思っているのに、それさえも行動を起こそうという気持ちにならない。本当に全てのことに対して現実逃避を始めているのかもしれない。

 

夕方前から船がひどく揺れ始めた。今まで船酔いらしきものをほとんど経験しないでここまでこれたけど、精神的、肉体的両方が一気にどっと疲れたためか、急に気分がかなり悪くなってしまい立っていることさえ辛く感じてきて、さすがに慌てて薬を飲み少しベッドで横になる。なんとか一時間ほど横になったら気分が楽になったけれども船はずっと揺れ続けたままだった。これも最後の難関かな。

 

夕食後、密かに部屋に持ち込んだお酒が残っているので、こっそりと数名で飲む。こんなこともするのもこれが最後と思ったけれども、やっぱり飲みながらの話題は相変わらずピースボートの悪口だった。最後なのだから良い船旅だったねとか、良い経験がいっぱい出来たねとか建設的な話で終わりたかったけれど結局はぐちぐちという内容になっていた。

そんな密かな宴会は11時過ぎまで続いてお開きになった。何となく楽しかったと言うより侘しい気持ちになってしまったのは自分の心の狭さからだろうか。

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その日の夜は何故か眠れなくなった。船がひどく揺れるのが一番の原因だったのだろうけれども、何か気分的にすごく落ち込んでしまって、ネガティブな事ばかりが頭を横切っていた。もうすぐ終わるのに、もうすぐ日本に帰れるのに全然嬉しくもなく、楽しい気分にもなれない自分がいる。とても不思議だけどそんな自分でいる事が許せた。

 

深夜の太平洋で船に波が当たる大きな音を聞きながら悶々と寝られない時間が過ぎていった。

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